「スギハラ・ダラー」
手嶋龍一 著 ★★★ 新潮社
手嶋龍一としては三冊目。 だんだん小説が、はまってきて、完成度は高い。先の二作品と比べると雲泥の差がある。第二次大戦のとき、ポーランドにいた外交官杉原千畝が、ユダヤ人がナチスドイツの迫害から逃れるために出した日本への渡航ビザ。そこから現代へと繋がる壮大な物語。 金沢が舞台となっているのにも親近感を抱く。それも、単に金沢の風情の表面を取り繕っているのではなく、その奥深さまでさりげなく引き出しいるのには感心した。作者の絵心もなんとなく漂ってくる。 おそらく綿密な取材をもとにした作品なのだろう。さまざまな挿話が全体に生きている。 NHKのドラマになる日も近いかも。
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