錫杖岳2・3間リッジ 1993/5/14
クリヤ谷岩舎の裏から残雪を辿って取り付きを目指す。立ちはだかる前衛フェースの威容に圧倒された。 1ピッチ目は、手持ちの資料には2ルンゼと3ルンゼの間のブッシュ帯とあるが、そこには行かず、その左のフェースを直登した。残置支点がなく、中間でアングルハーケンをぶち込んで進む。10メートルくらい登ったところの乗っ越しがやわしくて、スリングの結び目をクラックに挟んでバランスをとろうとしたら、すっぽ抜けて転落。パートナーの的確なビレイによって、グランドフォール寸前で止まった。パートナーもいくらかジャンプ。保険のためにと打っておいたハーケンが効いてくれた。もしあれが抜けていたら、おそらく今の自分はない。一口水を飲んで、アドレナリンが出ているうちにリトライ。思い切っていくと、なんなく抜けられた。と、覚えているのはここまでで、あとのことは全然記憶にない。
錫杖岳2・3間リッジ 1993/5/14 |