「シャイロックの子供たち」
池井戸潤 著 ★★★ 文藝春秋
半沢直樹のテレビ版を見てからは初めての池井戸潤。 テレビドラマもかなりおもしろかったので、本で読んでみるといくらかその残像が残っているかと思ったが、そんなことは全然なかった。やっぱり池井戸潤は読んでおもしろい。 今回の舞台は、東京第一銀行長原支店。ここでも銀行の内側がえぐりとられている。一見、短編集のような構成だが、挿話の一つ一つに主人公があり、それぞれの人生がある。そしてそれらが有機的に見事に結びついている。バンカーの矜持と悲哀を描いてみせる、それこそが池井戸潤の真骨頂だ。それを十二分に堪能させてくれる作品となった。
「シャイロックの子供たち」 |