「湿地」
アーナルデユル・インドリダソン 著 ★★★★★ 東京創元社
この薬の名前のような著者はアイスランドの作家。 アイスランド語(約三十万人にしか使われていない言語)で綴られた本書は、英語、ドイツ語、スウェーデン語などに訳され、世界的なベストセラーになったという。日本語訳はスウェーデン語から起こされた。訳者は翻訳にあたって、アイスランドを訪れたとのこと。作品の背景となったその地の空気を、雨を、人を肌で感じて、イメージを膨らませることが翻訳という作業には大切なのかもしれない。その努力が報われたよい日本語版に仕上がったのではないかと思う。 一見、地取り捜査一辺倒の地味な展開にみえるが、物語の底に流れる人間模様が次第に重さを増してくる。そして訪れる悲痛な結末。
「湿地」 アーナルデユル・インドリダソン 著 ★★★★★ 東京創元社 |