鉢山主稜線 西から東へ 2014/4/12-13
同行者 KとT
この山域は二十年も昔の春に烏帽子岳に登って以来。 小雨模様の中、ブスブスの雪稜を登った記憶があるのみ。どんな山域だったのかは一向に覚えていない。
4月12日 晴れ無風 焼山温泉から早川のコルまで
4時間30分 焼山温泉付近はスキーヤーのものと思われる車でいっぱい。少し手前の路肩に車を止めさせてもらう。 すぐに雪を拾って山に入って行く。ルートは川に沿ってほとんど平らな林道から少し入り組んだ地形へと変化していく。どこを通っても行けそうな感じなのだが、雪融けが進んだ今頃はなるべく谷に下りないように気を付ける。幸いスキーや歩行者のトレースがはっきりとしているため、それに従う。トレースはアケビ平から川を挟んで吉尾平へと上がっていく。周囲を山々で囲まれた吉尾平は、すり鉢の底のようなところだった。 吉尾平までくると今日の目的地早川のコルまではそう遠くはない。正面に鉢山、その右手の鞍部目指していく。傾斜が緩やかで、ついペースが上がりがちだが、心拍数を抑えぎみに、一定のリズムを意識ながら歩く。 ブナの木が立つコルは、広場のようで、テン場としては最高の場所。そこから見える烏帽子岳の尖鋭峰がマッターホルンのようだ。 コルに到着後、明日の取り付きとなる鉢尾根の偵察にいく。鉢尾根はコルからすぐで、案じていた雪壁もさほどでもなそう。コルに戻り、テントを張って、夕方までまったりとした時間を過ごす。
4月13日 晴れ 鉢尾根上部経由主稜線縦走後早川のコルに帰幕
3時起床。朝食は雑煮、永谷園のお吸い物に餅三つ、薬味に我家の庭のアサツキとミツバ。 いざ出発。この時期としてはあまり寒くはない。標高が低いせいもあるのだろう。歩き始めて直後、胸のざわつきを覚えたが、ゆっくりペースで歩いているうちに消えていった。 昨日偵察しておいた鉢尾根から取り付き、鉢山の主稜線に出る。
登攀スタートの1ピッチ目は全く雪が付いていない。傾斜も緩くロープを出すまでもない。そこを登るとほぼ水平の縦走となる。両側がすっぱりと切れ落ちた尾根は雪も付いていない。岩を積み重ねたような、今にも崩れ落ちそうなもろい稜線だ。ロープなしでも行けそうだが、安全を期してスタカットとする。ヤブを漕いだりして4ピッチ。窓と呼ばれるキレットの上に立つ。そこから約10メートルの懸垂。半分死にかけたブッシュからとった残置スリングがあるが、補強のためスリングを足して懸垂支点とした。浮き石が堆積しており、落とさないように気を使う。コルからは直登も可能だが、右手からトラバース気味に1ピッチ行く。ブッシュくぐりと雪の斜面のミックスだが、問題はない。そこからは本当に細いかろうじて残った雪のナイフリッジ歩きをちょっとだけ楽しんで鉢山の西の肩に出る。 東の肩には3人組のパーティー休んでいた。向こう側から登頂を終えたところだった。
山頂からの絶景をしっかりと目に焼き付ける。雨飾山が思いのほか大きく見え、金山へと続く稜線に興味を魅かれた。 軽くレーションをとって下りにかかる。雪は東のコルまでびっしりと付いているが、ナイフリッジがコルまで続き気が抜けない。気温が高めでグサグサになりつつある雪もいやらしい。リッジを巻いたり斜面を下ったり、コルまでは精神的によくない下りだった。 コルからはトラバースぎみに、左に縦走してきた鉢山の側壁を仰ぎながら、テン場へと戻る。登り返しも思ったほどではなかった。 久しぶりの一泊登山。気のおけないいつものメンバーとの山行。二日間とも穏やかな快晴でなんの不安要素もなかった。ロープを使った登攀も久しぶりだったが、案じていた自分の体調も大崩れせず、春山を手放しで楽しめた二日間だった。もしかしたら、もう少し上の山もこなせるかも知れない、との感触を得た山行でもあった。
主稜線に出てから西の肩まで3時間50分 東のコルを経てテン場まで1時間40分






















































鉢山主稜線 西から東へ 2014/4/12-13 |