「図書館戦争」

有川浩 著 ★★★ メディアワークス

「半沢直樹」がバンカーのバイブルならば、「図書館戦争」は図書館職員の必読書といったところか。作品全体から漂ってくるノリは何故か村上龍の「13才のハローワーク」を思い出してしまった。 図書隊が武装し、図書館の自由を守るという荒唐無稽な物語。ストーリーがハチャメチャなら登場人物もぶっ飛んでいる。少女漫画を文章化したらこんな風になるのだろう。主人公等が交わす会話は漫画のセリフそのもので笑えてしまうのだが、コント風ながら頷いてしまう妙な説得力がある。 表紙カバーの漫画チックなイラストが実にうまい。本書の内容と関連付けて描かれていて、そこに物語のすべてをくみ取ることができる。 作者は以下の「図書館の自由に関する宣言」をとある図書館で見かけて、この作品のアイディアを思いついたという。いつも利用している群馬と富山の四か所の図書館の司書さんに、この宣言文について聴いてみた。結果は、知っていると知らないと答えた人が半分半分。知っていると答えた人も、かなりうろ覚え。この宣言文は図書館員の矜持と受け取ったが、意外にも当の司書さんたちにはそうでもなかったようだ。 図書館の自由に関する宣言 一.図書館は資料収集の自由を有する。 二.図書館は資料提供の自由を有する。 三.図書館は利用者の秘密を守る。 四.図書館はすべての不当な検閲に反対する。 図書館の自由が侵されるとき、我々は団結して、あくまでも自由を守る。

「図書館戦争」

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