「シャドウ・ストーカー」

ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

原題が「XO」 美人で歌唱力もある当代きってのミュージシャンから届いたファンレターへの返事の末尾に「XO」と記されていたなら、それを受け取った熱狂的なファンは舞い上がってしまうだろう。もしかしたらそのファンはとんでもないことをしでかすかも知れない。それがこの作品のモチーフとなっている。 邦題を原題と同じく「XO」とするかどうか、出版社はおそらく悩んだに違いない。「XO」としても、消費者へのインパクトは十分であり、それなりの部数はさばけたと思う。それをあえて「シャドウ・ストーカー」としたのには、それなりの勝算があったからなのだろう。 それにしても「シャドウ・ストーカー」という題名はこの作品の中身をうまく言い表していると思う。「シャドウ・ストーカー」という言葉から連想する不気味でもやもやとしたガスみたいな事件を、ちゃんとした物語として世に出した、という感じがして、この邦題はこの作品にはドンピシャだと言える。 キャサリン・ダンスの事件だが、大御所リンカーン・ライムも登場し、ファンサービスも怠りない。

「シャドウ・ストーカー」ジャフリー・ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

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