「恋歌」

朝井まかて 著 ★★★★ 講談社

「まかて」という名前には???と思ってしまう。なんか意味があるのかな。
第150回直木賞のこの作品はすっきっりとした時代劇だった。 歌人中島歌子の人生をその弟子が紐解いていく。 語り口が今風なら、物語の運びも今風で、とても読みやすい。やっぱり時代が作らせる作品というものがあるのだなと実感する。 水戸藩士と会津藩士の区別も知らない小生であったが、天狗党VS諸生党の物語を軸として、水戸藩の立ち位置と苦労ぶりが垣間見えた。そして、幕末の混沌としたやや男ばかりが目立つ中にあって、歌人中島歌子が水戸藩がらみで描かれている。そういうことだったのか。と、うなることしきり。 一つ心にぐさっときたのは、歌を詠うときは命がけであらねば、ということ。 君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ 萩を彩った表紙カバーが秀逸。

「恋歌」 

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