「薔薇の名前」
ウンベルト・エーコ 著 ★★★ 東京創元社
ルーサー・ブリセットの「Q」繋がりで手にとった一冊。 「Q」も難解だったが、この作品はもっと難解だった。 中世イタリアの僧院で起こった連続殺人事件を描いた推理小説。「Q」同様キリスト教の歴史的素地がないとついていけない。逆に言うとそちら方面に興味がある者にとっては読みごたえのある作品となるのであろう。巻末にその辺のところを補充すべく長い解説が添えられているが、それを何度も何度も読み返してみてやっと少しだけこの作品の持つ世界観に追いつくことができた。それでもそれは作品から漂う言わば「匂い」を嗅いだだけに過ぎず、はやり物語を完全にものにしたとは言い難い。 よくわからないけど有名な画家をの絵を観ているようで、退屈なクラシック音楽を聴いているような感じ。そんな楽しみ方もまた本読みにはあるのかもしれない。
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