山と不整脈その2 症状が心房細動とは知らなかった頃の話(その2)

八ヶ岳・石尊稜 2010/12/10-11 へ行ったときのこと
およそ2年ぶりの冬山、2年前の鹿島槍以来。この間山に入っても何の問題もなかった。 八ヶ岳のバリエーションを行こうということで、美濃戸から行者小屋目指して歩く。行者小屋に着くまではなんの問題もなく、むしろ絶好調なくらいであった。小屋に着いて、ザックを降ろして、テン場を探しに歩きまわって、元の場所に戻った瞬間、心臓が激しく脈打ち始めた。まるで機関銃の連射だ。目が回り出し、吐き気ももよおし、立っていられなくなって、その場でへたり込んでしまった。 仲間がテントを設営している間に、脈拍は下がっていった。しかし、アイスクライミングの練習に行こうと、ハーネスやギヤを装着している間、だるさは抜けなかった。準備を整え歩きだすが、一歩一歩が重く、吐き気もし、まるで拷問のような行進となった。ゆっくり歩くことすらままならない。アイスクライミングの現場に着いても、症状は収まらない。一歩足を蹴り出すこと、ピッケルを氷に打ち込むことが苦痛だった。皆が練習しているのを眺めているしかない。練習を終え、テン場に戻ってもめまいと吐き気は収まらず、皆が入山祝いで盛り上がる中、食欲も湧かずビールを飲む気にもなれず、独り静かにシュラフの中でうずくまっていた。 翌朝、どうなることかと心配したが、起きてみると体は軽く、いつも通り朝食を摂ることができた。その日の行程もなんなくこなし、体には何の異変も起きなかった。このときも、前日自分の身に起こったことが信じられず、狐につままれたような感じだった。 2年前の鹿島槍と八ヶ岳で起こった似たような症状、しかし、深刻には考えていなかった。なぜなら、具合が悪くなっても、翌日には回復していたからだ。また下山時にはなんの症状も出ず、普段の生活においてもその症状が出たことがなく、ジムでの結構きついトレーニングで心拍数をかなり上げても、なんの異常も感じられなかったからだ。

山と不整脈その2 症状が心房細動とは知らなかった頃の話(その2)

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