「ピルグリム」

テリー・ヘイズ 著 ★★★★★ 早川書房 全3巻 

読みだしはやや硬い印象を受ける。訳し方のせいなのか、物語の入り方のせいなのか、ハードボイルド的な硬さではなく、主人公ピルグリムの語り口がそうさせるのかもしれない。 諜報員ピルグリムの手腕は切れがあって、冒頭から物語に一気に引きずり込まれる。方や、悪者テロリストの人物描写やテロの背景と準備段階の物語は緻密でトム・クランシーの作品を彷彿させる。数多くの挿話が出てくるが、そのどれも物語の主題とつながってくる。ある意味出来すぎ感がないでもないが、第一級のエンターテイメント間違いなし。クライマックスは最終章の直前という定石もはずさず、静かな幕切れを迎える。

「ピルグリム」

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