「イスタンブル」

オルハン・パムク 著 ★★★★ 藤原書店

「憂愁(ヒジュン)」、イスタンブルへの想いを作者はこう表現していて、本書では頻繁にこの表現が使われている。 訳者はトルコ語でいうところの「ヒジュン」の言い回しに苦心したのかもしれない。「憂愁」をそのまま英訳すると「メランコリ」となる。だが、この自伝を読む限り、どうも「メランコリ」ではしっくりこない気がする。「ヒジュン」は「ヒジュン」なのであり、本書全体に漂っている雰囲気を表している。それが、感じられただけでも、この本を読む価値があったというもの。

「イスタンブル」

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