「天璋院篤姫」
宮尾登美子 著 ★★★ 講談社文庫
幕末探求の一環として手に取った一冊。
ただの歴史書、解説本より、やっぱり小説の方がおもしろい。というか、歴史書の穴を埋めてくれる物語が小説の醍醐味だという気がする。久しぶりの宮尾本は期待通りで、すうっと物語に入っていける。不遇な将軍に嫁いだ篤姫の生きざまはかくもあったのかと思わされる。幕末はまるで足早に台風が通り過ぎていくかのように日本が動転した時代。篤姫はその渦中にあり度重なる運命に翻弄されながらも、自分をしっかり持ち、大奥の要となり、将軍家、果ては日本の行く先を見守り続ける。
幾多の試練を克服し、やさしさに裏打ちされた強い女性を描く、宮尾登美子の真骨頂がはっきされた作品だ。
| 「天璋院篤姫」宮尾登美子 著 ★★★ 講談社文庫 |
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