「川の深さは」

福井晴敏 著 ★★★ 講談社

サスペンス。江戸川乱歩賞をとる前の作品 「あなたの前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう?1.足首まで、2.膝まで、3.腰まで、4、肩まで」と問われたとき、なんて答えるだろう。「腰まで」と答えた人は「何にでも精力的で一生懸命、バランスの取れてる人」。「肩まで」と答えた人は「情熱過多、暴走注意」。だそうだ。 元警察官のグータラ警備員の森山が、ヤクザのビル爆発事件に関係のあると思われる保をかくまうところから話は始まる。しかし、それは単なるヤクザの抗争劇だったのではなく、一年前に起きた宗教団体の地下鉄爆破テロとの関連性があった。森山は『赤坂』『市ヶ谷』『永田町』が絡みあった闇の計画に巻き込まれてしまう。キーワードは『アポクリファ』。 トム・クランシーを彷彿させる諜報戦と人間模様。怒涛の結末は一気読み。後に大賞を3つも受賞した『亡国のイージス』よりかはよくできていると思う。

「川の深さは」

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