「遠き雪嶺」
谷甲州 著 ★★★★★ 角川書店
昭和9年末から翌年にかけて、厳冬期の早月尾根を初めて踏破したのが立教大学だった。その前にも彼らは冬の鹿島槍天狗尾根、北壁、南アルプスにも輝かしい記録を打ち立てている。昭和11年、いよいよ立教大学はインドヒマラヤのナンダ・コートを目指す。1月には加藤文太郎が冬の北鎌に逝き、2.26事件があったその年である。 この本はそんな彼らの山を描いた限りなく事実に近いフィクションである。プロジョクト・Xを地でいくような、綿密な取材、今に再現された当時の登山模様。なにより彼らの熱き想いが伝わってくる。ヒマラヤへの情熱、資金調達、隊員の葛藤、そして本当に長く遠かったナンダ・コートへの道。果たして結末は・・・。
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