「百年の孤独」

ガルシア・マルケス 著 ★★★★★ 新潮社

もし、一番最初に読んだ本がこの一冊だったら、本なんてものはつまらない、何書いてあるんだか、ちんぷんかんぷん、理解できない。と、本から遠ざかってしまうかもしれない。一から十まで荒唐無稽の内容。裏を返せば、それほどインパクトのある作品ともいえる。舞台は南米らしきところにある、マコンドという小さな町。そこに暮らすブエンディア一族の年代記と町の盛衰を描いた物語。登場するブエンディア一族は同じ名前ばかり。幾代にも渡り同じ名前が受け継がれていく。それがややこしいかと思えば、意外とそうでもない。同じ名前でありながら、それぞれのブエンディアに物語があり、それぞれの個性がついてまわる。次々と放たれる挿話がそれぞれのブエンディアを物語っている。読者はその挿話によって各々のブエンディアを頭の中に描き、出てくるブエンディアごとに抽斗を開けたり閉めたりして同じ名前の登場者を入れ替えする。空飛ぶ絨毯、浮遊する神父、錬金術、ホメオパスなどがモチーフとなったりして、ファンタジーのような印象を受ける。

「百年の孤独」 

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