「死の雪山サバイバル」
フィリップ・リンチ 著 ★★★ 新潮文庫
ときとして、題名負けという作品に出合うことがあるが、この作品はそのタイトルを裏切らない。 それぞれの事情、思惑を持って研修目的のツアー登山にのぞんだ男女らが過酷な試練に遭遇する。最低限の装備と食糧で14日間山で過ごすというプランだが、山の中では想定外のことも起こりうる。そんなとき、登場人物はどう対処するのか、何を思うのか、実際に山を経験したものには我が事のように物語は進んでいく。自然描写が豊かに描かれていて、臨場感もスリルも申し分ない。サスペンスと山の融合に成功している秀作といえよう。
「死の雪山サバイバル」 |