「特捜部 Q キジ殺し」
ユッシ・エーズラ・オールスン 著 ★★★★ ハヤカワ・ポケット・ミステリー
「特捜部 Q」二作目。 北欧ミステリーには英米のものとは若干異質な雰囲気がある。どこがどう違うのか、もやもやとした霧のような感覚が頭にあるのは確かで、うまく表現しきれないのをもどかしく思う。 最近、寄宿学校や不遇な子たちの預け入れ施設をモチーフとした作品に出くわす。偶然なのかそれとも今流行りなのか。あるいはたまたま手にとった作品がそういうもので占められていただけなのか。事件の真相を追っていくと寄宿学校時代のある種の出来事が発端となっていることがわかってくる。それが、現在進行中の事件と同調・融合して物語に厚みを待たせている、といった具合だ。本作品もその一つ。 第一作「檻の中の女」でもそうであったが、デンマークの政情と警察組織の改変にともなうしわ寄せが末端にまで及んだというごたごたも織り込んであり、デンマークを身近に感じることに役立っている。これまであまり知らなかったデンマークという国、ウィキペディアで探ってみようという気にさせてくれた。
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