「GB84」
上・下 デイヴィッド・ピース 著 ★★ 文藝春秋
読み終えるまで2か月かかった。
1984年、イギリスの炭鉱労働者のストライキを題材とした作品。それはわかった。頃は、鉄の女といわれたサッチャー首相の時代。それもわかった。だが、話の筋が全く見えてこない。上・下巻読み終えて残るのは、ただ単に「ストライキ」「労働運動」とは一言で言い表せない当事者の苦悩と挫折。それだけは感じ取られた。
なんでそうなるかというと、話が突然ストライキの最中から始まり、人物、背景、時代などの舞台設定が一切ない。語り口が散文的で、唐突で、詩的なこと。全体を通して、長大な散文詩と言っても過言ではない。
作品に描かれている時代の素養が自分に少しでもあれば、違った読み方もできたのかもしれないが、そうでない者にとっては苦痛でしかない長編だった。
| 「GB84」上・下 デイヴィッド・ピース 著 ★★ 文藝春秋 |
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