江戸時代の富山売薬を辿る

お得意さんから手紙を頂いた(内容の公開は了承済み)。ちょっと難問。かいつまんで言うと、江戸時代、富山の売薬さんは遠く蝦夷や鹿児島まで商売に行ったというが、どんな道を通って、何処に泊まって、荷物はどうやって運んだのか、また費用はどのくらいかかって、いくらくらい携帯していたのか。といったご質問。この辺は自分にも空白地帯だったので、ネットで資料がないか検索してみた。探ってみると、植村元覚さんの論文が多数目にとまった。それはPDF化された富山大学の資料だった。ダウンロードしてプリントすると、けっこうな枚数になる。さらに調べると、「富山県薬業史」なるものに行きあたった。これは富山県の置県百年記念事業とし編集発刊されたもので、通史と膨大な資料集からなり富山売薬の百科事典ともいえる内容だ。図書館で借りれるが、これもPDF化され公開されている。なんと、植村元覚さんが編集にあたっており、前述の論文の内容もカバーされている。以上の文献にお得意さんの疑問に答える糸口があるみたいなので、その旨資料を添えてお伝えした。

タイミングよく、富山売薬が主人公の宮本輝の小説「潮音」が今年の春発刊となった。この作品は上述の内容を含んでおり、時代考証もしっかりしている(植村元覚さんの執筆物あるいは「富山県薬業史」を参考にしたと思われる文章が多々みられる)。これでもって、売薬さんの辿った道をなぞっていくのも一考かもしれない。

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