「ハンニバル戦記 ローマ人の物語II」

塩野七生 著 ★★★★★ 新潮社 

イタリアの統一後、ローマ同盟は次第に拡大していき、覇権はアフリカにまで及ぼうとしていた。しかし、そこに立ちはだかったのがカルタゴであり名将ハンニバルであった。数では圧倒的に上回るローマ同盟の軍団に対し、ハンニバルは独自の戦術で次々とこれを破っていく。ハンニバルはそれまで行われていた古典的な戦い方を変えてしまったのだ。さながら三国志の諸葛孔明をみているかのようだ。カンネの戦い、ザマの戦いなど名高い戦いが繰り広げられたのもこのときである。しかしながら、その時々に応じて優秀な人物を輩出するのがローマ人の凄いところ。ローマ陥落の一歩手前まで迫られながらこれを阻んだのが、若きスキピオだった。スキピオの登場によって趨勢は一変する。ハンニバル一人頼みのカルタゴに対して、幾たびの戦いを経て、ついにはスキピオを生み出したローマの底力の勝利ともいえる。3次に渡るポエニ戦役でカルタゴは完全に滅び、ローマは地中海の覇者への道を歩み始める。

「ハンニバル戦記 ローマ人の物語II 」

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