「印」

アーナルデユル・インドリダソン 著 ★★★★ 東京創元社

著者の作品六作目にして、ようやくアイスランドの地名、人の名前、捜査官である主人公のバックグラウンドに違和感なく溶け込めるようになってきた。それも理由の一つなのか、物語にすーっと入っていける。これまでの作品を通して主人公を含めたアイスランドの社会背景はおぼろげな印象であったが、それでもサスペンスとして読むには十分な作品であった。ここにきて、バックグランドが自分の中で明瞭になってくると、より作品群への親しみも増してきた感がある。アイスランドという未知な世界の物語だが、自分の中のアイスランド像を膨らませてくれた一連の作品となった。

「印」

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