「一夢庵風流記」
隆慶一郎 著 ★★★★★ 読売新聞社
この本に出合うまで、前田慶次郎のことは知らなかった。破天荒な人物像はまるで漫画の主人公みたい。こんな人が本当にいたのだから、驚かされるし、虜になってしまうのも無理はないだろう。 歴史通の間では「傾奇者」としての評判が定着している。いつの時代からそのイメージが植え付けられたのかはしらないが、ネットで見る限り、その印象は不変であるらしい。本作品でもその路線は踏襲されていて、膂力があって、男前、義理人情に厚く、かつ偏屈者という戦国時代に現れた希代の武将が描かれている。 彼の日常は一般人にとっては非日常で、そんな自分にない世界観を持って生きる人物にあこがれを抱くのはいつの時代も変わらないのかもしれない。
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