「行きずりの街」
志水辰夫 著 ★★★★ 新潮文庫
はじめての志水辰夫。志水辰夫が北方健三、船戸与一らと同時代にデビューした作家ということをこの作品を読み終えてから知った。1980年代を飾った本格冒険作家の一人だったらしい。 ネット上の評価はかなり厳しいものが目立つ。だが、自分的にはなかなかおもしろかった。 読み始めてすぐ、はて?と思わされる。この物語はいったいどこへ連れて行ってくれるのか。ページをめくるごとに自分の予想は外れまくる。息を呑むのも忘れるくらいめまぐるしく動く展開に引き込まれ、気が付いてみると、最初に想像していたものとは全く違う物語に進展していた。中盤以降も目が離せず、一気読み。本読みの醍醐味を堪能させてくれた作品だった。
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