「L.A. コンフィデンシャル」
ジェイムズ・エルロイ 著 ★★★★★ 文藝春秋
LA四部作の三作目。 LAPDの闇を描くことで、1950年代のロスアンゼルスしいてはアメリカの抱える問題点をあぶり出している。ただ、その描き方が強烈で、容赦ない。出てくる連中はみんな悪ばかり。 金、ホモ、麻薬、ギャンブル、赤狩りが絡んだ殺人事件が次から次と起こる。 戦後世界を牽引してきたあのアメリカにこんな時代があったのかと思わせるくらい、おそらく知られたくない、誰にも探られたくない、それまで抱いていた常識と価値観をひっくり返されるくらい、しかし、事実としてあったその深い闇を作者は描いている。 「ブラック・ダリア」から始まる連作物だが、主人公は毎回異なる。共通するのは悪の中にありながら、突出して「切れる」警官たち。今回も三人の警官の、事件を通してのそれぞれの思惑と身の振り方、葛藤、焦燥感が描かれている。 そして、混沌のなかから紡ぎだすようにして導き出される一つの物語。 読み終えて、その構成力と先の読めない物語にあらためて作者の底力を感じた。
「LA コンフィデンシャル」 |