「声」

アーナルデュル・インドリダソン ★★★★ 東京創元社

アーナルデュル・インドリダソン、三冊目。 この作品はなかなか奥が深い。 舞台はアイスランドのレイキャビク。クリスマスを迎えた老舗のホテル。サンタクロース姿のドアマンの変死体が発見される。 捜査を通じて掘り下げられる被害者の過去と主人公である刑事の過去。そして事件に関わる登場人物の過去。過去を徹底的に調べ上げて事件の真相に迫るというやり方に本作品の醍醐味はある。過去のどこかの時点に手掛かりとなる何かがあり、それがいつのまにか「今」の事件に収束されていく。 自分がアイスランドに抱く夜の暗いイメージが作品の印象とうまく合致して、読んだ後も哀しげな余韻が残るミステリー。日本でいえば高村薫かな。

「声」

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