「薩摩燃ゆ」

安部龍太郎 著 ★★★★ 小学館

主人公の調所広郷は江戸時代末期に藩の借金五百万両という財政難を立て直した人。とはいえ、5分だけ払って、残りは250年の割賦払い、というのだから、ほとんど棒引きに等しい。はたして、その支払いがいつまで続いていたのだろうか、気になるところ。廃藩置県となった後も返却はなされていたのだろうか。 関ヶ原以来、薩摩藩というのは特異な国だとの印象が強い。徳川の世に入ってからも、表向きは幕府に従うように見せながらも、琉球支配に見られるように独自路線もまた別に歩んでいた。江戸から遠いことも一つの要因なのだろうが、それだけでは語れない何かがある。本作品は薩摩藩のなんたるかの一端を垣間見せてくれる。

「薩摩燃ゆ」安部龍太郎 著 ★★★★ 小学館

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