「サイレント・ジョー」
T・ジェファーソン・パーカー 著 ★★★ ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ・ノヴェルズ アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞 誘拐事件を追っていきながら、主人公を完璧に描き出している。女、金、政治とモチーフはよくある設定だが、登場人物の存在が実にリアルに伝わってくる。最初は淡々とした、散文的な文章にややとまどったが、これが次第に悦に入ってくる。日本語訳なのでなんとも言えないが、おそらく原著もこうした文体で書かれているのだろう。主人公の飾り気のない人物像を表現するのにも一役かっていいる。「サイレント・ジョー」というよりも「セイント・ジョー」といってもいいくらいだ。
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