「緑の天幕」
リュドミラ・ウリツカヤ 著 ★★ 新潮クレスト・ブック
かなりの長編。半分程まで読み進めて、返却期限が来たので一旦図書館に返却した、その再読。今回は一気に読み込んだ。ソ連崩壊前後の青春群像。ネット上では評価が高いものばかりだが、私にはどうにもなじめなかった。物語としては中盤あたりで一つの幕が降りている。それだけならまだ★三つだったかもしれないが、後半に入ると、前半の物語をカバーするというか隙間を埋める挿話が散りばめられていて、それが、時系列でもなく、かつ場当たり的散漫的に描かれているものだから、頭の中で整理することに気がいってしまい、物語全体を追って楽しむことが出来なかった。それにもう一つ、これが当時としてはごく普通の青春群像だったのか、それもひっかかった。もしそうだとしたら、ソ連時代、人々はとても人道的とは言えない生活を強いられていたことになる。はたして実態はどうだったのか、気になるところではある。
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