「金色夜叉」
尾崎紅葉 著 ★★★ 日本の文学 第四巻 中央公論社
英語バージョンでは「The gold demon」か、なるほど。
昭和から平成にかけて流行った昼メロを地でいくような物語。もっとも、本作品が読売新聞に掲載されたのが明治30年から36年というから、こっちが本家本元だろう。尾崎紅葉は何十年も先を行っていたのだ。だが、主人公の寛一と宮、双方の感情、行動、いずれもステレオタイプすぎて、どうかなというのが正直な感想。
それにしても読みづらい。会話文はまぁまぁとして、それ以外の客観描写の読みづらさといったらありゃしない。古文体というか漢文調というか、それを一旦現代文に読み替えてからでないと、話が見えてこない。登場人物の出で立ち、背景描写は秀逸で臨場感がおのずと高まるが、いかんせん解読するのに脳内回路を一周させないと先に進まない。
尚、「金色夜叉」は続金色夜叉、続々金色夜叉、新金色夜叉から成り立っているのが、ちょっとした発見であり驚きでもあった。
「金色夜叉」尾崎紅葉 著 ★★★ 日本の文学 第四巻 中央公論社 |