「真夜中の密室」

ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★ 文藝春秋

読み終えてから、約一か月たってからの感想文。

読了直後はそんなに大きなインパクトはなかったかと記憶する。今も同じで、物語の筋もおぼろげで、結末は全く想い出せない。これも老化のなせる業か。著者の初期の頃の作品の印象が強く、それでだらだらと新刊が出るたびに読んでいるが、期待するも、なかなかあの頃の感動に巡り合えない最近のジェフリー・ディーヴァー。

あえて記すならば、時代の最先端を行く題材に積極的な姿勢は初期の頃から一貫している。それは本作にはネット社会の応用として描かれている。加えて、本作品ではアナログ的な題材も取り上げている。それは「鍵師」、どんな精巧な錠前もなんなく開けてしまうあの鍵師。その超絶技巧ともいえる鍵師の鍛錬と生き様の描写が読みごたえあった。鍵の世界はこんなところまで来ているのかと思わされた。物理的に鍵を開けるというアナログ的題材とネット社会の融合が本作品のキモであり、作者の意図した面でもあると思う。

「真夜中の密室」ジェフリー・ディーヴァー 著 ★★ 文藝春秋

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