「通り過ぎゆく者」
コーマック・マッカーシー 著 ★★ 早川書房
コーマック・マッカーシーの本は三冊読んできたが、いずれも良作だった。今回も期待して手にとったわけだが、残念ながら自分にはちょっとなじめなかった。ネット上の書評は概ね高評価だが、理解に苦しむ内容だった。
何が問題なのか、まず、冒頭からして読みづらい。いったい何を言わんとしているのか、荒唐無稽な会話から始まる。もしかして、マジックリアリティー的な物語なのかと無理やり納得して、次に進む。だが、そうでもなく、ミステリー仕立ての真っ当な挿話にギヤチェンジ。かと、思いきや、また支離滅裂な挿話に突入。こんな調子で、最後まで進んでいく。おもしろいとか、おもしろくないとか以前の問題で、単に自分には荷が勝ちすぎたのかもしれない。
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