「死もまた我等なり」
ジェフリー・アーチャー 著 ★★★ 新潮文庫
「クリフトン」シリーズ第二部。 運命のいたずらによって離ればなれとなってしまったエマとハリー。だが、時代の波に翻弄されつつも双方とも誠実に生きていこうとする姿勢は変わらない。そして、彼らを見守るよき友と仲間によって支えられ、また迫りくる危機を幾度も乗り越えて二人の運命の糸は再び交わろうとしている。 第一部でもそうであったが、役者たちの立ち位置にぶれがない。よどみのないストーリー展開は読んでいてとても心地よい。そして、下巻になってやってくる大きな波のうねり、ハリーが収監されたことから起こる思わぬ展開。著者自身の獄中体験が物語に反映されているのだろう、獄中の物語と生活描写は実にリアルだ。ハリーの相続権を巡っての議会での討論場面も、実際に議員経験のある筆者ならではの臨場感、なかなか読み応えがある。 クライマックスは最終章の一つ前にやってくるという定石も外さず、余韻をもって次回作に繋がる終わり方はさすがだ。
「死もまた我等なり」 |