「天地明察」

冲方丁 著 ★★★★★★★ 角川書店

星七つは高田大介の「図書館の魔女」以来か。久しぶりに爽快、痛快な作品に出逢った。 おもしろい作品に出逢ったとき、よくそれが映画化、テレビドラマ化されるシーンを思い浮かべたりするのだが、本作品ではアニメーションの映像が浮かんだ。テンポがよくて、飾らない文体がそうさせたのだと思う。 江戸時代に於ける暦の改変という主題を、囲碁的、数学的、天文学的、歴史的、政治的という様々な見地から描きながら、それらをうまくコンパクトにまとめ上げている。かつ、物語性も秀逸となれば、言うことなし。作者の天才的な技量に脱帽する。多くの人が歴史小説の傑作としてこの作品を推すのも納得。 新田次郎の「点の記」的な匂いも若干感漂うが、それを上回る作品力に圧倒された。

「天地明察」

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