八ッ峰とチンネ 1985/8/15-18
初めての剱岳は八ッ峰で始まった。黒部湖から、丸山東壁を見て、ハシゴ谷乗越しを経由し真砂沢のキャンプ場へ。何もかもが新鮮で感動の連続だった。 Ⅰ、Ⅱ峰間ルンゼを行ったつもりだったが、なぜか本当の「溝」登りとなってしまった。登りきった所はⅠ峰の手前。まずこのルンゼを登るものはいないだろう。そして、Ⅶ峰付近でガスにまかれてさっぱり居場所が分からなくなってしまった。とにかく先に先にと進む。八ッ峰の頭を踏んだのかは判然とせず、いつのまにかチンネからの下降点まで来ていた。そこから池ノ谷ガリーに降り、三ノ窓に出た。もう時刻も遅く、真砂沢まで戻れず、ツエルトを被って初ビバーク。水は、傘をさかさまにして雪渓の端から滴り落ちる水滴を集めて水筒に溜めた。 翌朝はチンネの登攀、引っ張りあげられなんとかついて行く。自分がトップをきったのは、最後の簡単な2ピッチぐらいだったろうか。本峰に立ったときは、喜びよりは、疲労感で一杯だった。
八ッ峰とチンネ 1985/8/15-18 |