「剣より強し」上・下 ジェフリー・アーチャー著 ★★★ 新潮文庫

投稿日時 2016-12-15 17:26:07 | トピック: 本棚

クリフトン年代記第五部。
前四部作を覚えていなくとも、この作品はこれ自体で十分楽しめる。
最近お気に入りで読みこんでいる北欧の推理小説とはガラッと趣が異なる。繊細で緻密な物語展開が際立つ北欧の推理小説は読むのにも力が入り、その分読後は深い充実感に満たされる。一方、クリフトン年代記はそうした細部にはあまりこだわらず、深読みもいらず、くつろぎながら物語の展開を追っていくという楽しさにあふれている。
ハリーはスターリンの実像を描いた作家ババコフの投獄事件に巻き込まれ、同じころエマはレディ・バージニア・フェンウィックと名誉棄損裁判で争う。ジャイルズは選挙で宿敵フィッシャー少佐に敗れる。若きセバスチャンが文字通り勢いを加速しながら物語を盛り上げている。
セバスチャンの物語があまりにも旨く行きすぎ、無茶振りにすぎるというのが、引っ掛った。



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