「希望の峰 マカルー西壁」笹本稜平 著 ★★ 祥伝社

投稿日時 2020-11-30 11:03:46 | トピック: 山の本

「ソロ」シリーズ三部作の完結編、ということらしいのだが。
三作共、パターン化された展開は面白みに欠ける。パターン化が決して悪いということではないが、良い方向に向かうのは少ないのではないかと思う。このシリーズでも、挑む山域こそ異なるが、主人公の起承転結はだいたい同じ音色、同じ調子という印象が否めない。作者の登攀場面の描写はどの作品においてもよくできている方だと思う。しかし、本作品のように難関の単独登攀という場面を捉えるならばイージーすぎる感がある。物語の本筋だけを追って、細かなことには目を瞑るという見方もあろうが、山岳小説にあってそれは重要な要素の一つと考える。その部分をあえて省いたのだとしたら残念なことだ。



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