「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」 河野啓 著 ★★★ 集英社

投稿日時 2020-12-28 17:47:35 | トピック: 山の本

世間では、栗城がエベレストで無謀な登山をして逝った、ということになっている。私の周囲もそれまではやんややんやと岡目八目的な言い合いをしていたが、以後、ほとんど話題にのぼらなくなった。いろいろ言われているが、私としては、度重なる失敗にもめげず、可能性に賭けて挑戦し続けた彼を評価している。「栗城史多のエベレスト劇場」とこきおろされながらも、再々度とエベレストに臨むなんてなかなか出来るもんじゃない。何かを期待させる、そんな目で見ていた。8回目の挑戦で彼は帰らぬ人となってしまって、とても残念てならない。

さて、本書についてだが、ノンフィクションというには、なんだかオブラートに包まれた文面で、切れ味に掛ける印象。亡くなった者への配慮がそうさせたのだろうか。死者にムチを打ちたくない気持ちと、「栗城史多のエベレスト劇場」の真相を解き明かそうとする気持ちの中途半端さが感じられる。なので、栗城の「山」、栗城という人物像がぼやけてしまっている気がする。

本書の題名「デス・ゾーン」は安易に過ぎる。キャッチコピーとしては内容にそぐわないと思う。



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