「ジャック・オブ・スペード」ジョイス・キャロル・オーツ著 ★★★ 河出書房新社

投稿日時 2021-8-6 11:31:09 | トピック: 本棚

とても愉快な軽サスペンス。
人気ミステリー作家の主人公は別名「ジャック・オブ・スペード」でもミステリーを発表している。主人公としてはその別名で描く方が裏側の自分、本性を具現化しやすく筆がすいすいと進む。表社会ではお堅い作家さんを演じ、社会貢献にも身を投じて好印象で認知されている。一方、ジャック・オブ・スペードでは正体不明のミステリー作家として邪悪な作品を世に出している。その裏作品がある女性によって盗作呼ばわりされたことから、表の自分も裏の自分もガラガラと音をたてて崩れていく。その崩れ方のなんとも滑稽で、ドツボにはまっていく様子が面白い。最後にもうひとひねりあるのかなと思ったが、すんんなりとした結末だったので、ちょっと残念。




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