「落花は枝に還らずとも 上・下」 中村彰彦 著 ★★★★★ 中央公論社 

投稿日時 2022-3-29 18:36:09 | トピック: 本棚

副題に「会津藩士・秋月悌次郎」とある。
以前からちょっと気になっていた「会津」。確固たるイメージがあるわけでなく、自分の中ではもやもやとしたものがいつもくすぶっている、そんな「会津」を知るうえでの端緒になればと思って手に取った一冊。

幕末から明治への移行期を主題とした小説はそれこそ山ほどあるが、この作品は一人の会津藩士の視点からそれを捉えている。秋月悌次郎は昌平坂学問所に進み、当時日本一の文士と言われたほどの逸材。そんな彼が会津藩主松平容保の信を得て維新期の会津藩の下支えとなり、戊辰戦争、会津戦争を乗り切っていく。読んでいて、まるで講談を聴いているかのような心地よさに浸る。まさに秋月悌次郎こそが維新の立役者だ。悌次郎無くして維新は語れない。そんな作品に仕上がった。



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