「殺人者の顔」ヘニング・マンケル 著 ★★★ 創元推理文庫

投稿日時 2023-7-12 17:27:53 | トピック: 本棚

著者の作品を2冊続けて読んで、ちょっと変わってるな、と思ったので、読み込んでみることにした。
ヘニング・マンケルを一躍有名にせしめた「刑事ヴァランダー」シリーズ、その第一作がこれ。これまでいくつかの刑事ものを手に取ってきたが、それらと何が違うのだろうか。それは決して違和感とうネガティブな印象ではなく、推理小説としての完成度が高いことに加えて、主人公への距離感がとても近く感じられるということだと思う。かといって、やたら深い心理描写があるわけでもない。頭脳明晰なスーパー刑事でもない。布石があちこちに散りばめられているわけでもない。淡々と仕事をこなしていく主人公を追っていく、その描き方がどうも他の刑事ものとは違っているようなのだ。
気になった点が一つ、邦訳にあたっての違和感を覚えた場面がいくつかあった。スウェーデン語は解さないが、日本語的にも変な言い回しが散見された。もちょっと丸く邦訳してもよかったのではないかと感じた。



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