「ポスト・カード」アンヌ・ベレスト 著 ★★★★ 早川書房

投稿日時 2023-10-25 15:53:57 | トピック: 本棚

訳者あとがきには、「ノンフィクション小説」とあるのだが、事実をもとにした小説の意だろうか。どうやら、ホロコーストに巻き込まれた著者のルーツを辿る旅であるようだ。

この小説もまた現在、過去のパラレルストーリー、最近はこの手の作品を手にすることが多い。前半は「シンドラーのリスト」を思わせる第二次大戦でのユダヤ人の逃避行。ナチだけではなくフランスも収容所送りの片棒を担いでいたことを、この書で初めて知った。最近読んできた本では良きにつけ悪しきにつけフランスの「大国」ぶりを再認識することが多かったが、本書でも同じ感触を得た。後半は、家族分かれ分かれになった後、一人残された(故に本作品が書かれることになるのだが)作者の祖母の足跡に迫り、現代への繋がりの糸口となっている。
今のフランスの若者はこの「フランスの黒歴史」をどのように読むのだろうか。



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