「ボーン・コレクター」

投稿日時 2010-6-23 19:28:26 | トピック: 本棚

ジェフリー・ ディーヴァー 著 ★★★ 文藝春秋

「石の猿」を読み終えてから、やはりシリーズ第一作から読みたいと思っていた。リンカーン・ライムの四肢麻痺については、これで納得がいった。事件の捜査中の事故で、一命をとりとめたものの、なんとか自由になるのは左手の薬指と顔だけという非常に重度な障害を負ってしまった。ライムはまるで死に体の自分に対して、生きている証を見つけられず、そんな自分には死は当然の権利だと考えてしまう。幾人ものセラピストとの触れ合いからも、その意志は変わらなかった。しかし、彼に未来への希望を抱かせたのはたった一人の女性、アメリアサックス捜査官だった。愛にも勝る妙薬はないのか、とあらためて感じ入ったしだい。
さて、物語ではライムの緻密な捜査手法が次々に披露される。犯人暴きも楽しみだが、これまでにはなかった「証拠」の分析には何度もうならされてしまった。ジェットコースター・サスペンスとはダン・ブラウンの十八番かと思っていたが、ジェフリー・ ディーヴァーもその第一人者であった。



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