「冷血」上・下 高村薫 著 ★★★ 毎日新聞社

投稿日時 2014-4-4 17:54:21 | トピック: 本棚

冒頭から序盤にかけてのアップテンポの乗りに、あれっ?と思いつつ、その調子のままで事件は起こってしまう。歯科医師一家4人の惨殺事件。犯人はたちまち逮捕されてしまい、そこで上巻の終わり。はたして下巻はどんな展開になっていくのだろうか。犯人も犯行をあっさりと認め、これ以上話の持って行きようがないと思われるのだが・・・。

情状酌量の余地の無い、理不尽で残虐な犯行にいくら理由付けをしようとしても、そのことに意味があるのか。事件の背景を究明し、事件の真相、犯行動機と犯人の心情に迫ってみたところで、いったいそれが何になるのだ。後半では、事件に関わった刑事のそんな心の内を中心に描かれている。

繰り返される刑事と犯人とのやり取りで埋め尽くされるページ。だからどうしたと思ってしまう。

この作品はフィクションなのだが、物語を読んだ直後に千葉県で起こった通り魔殺人と無性にだぶってしまった。



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