「服従」 ミシェル・ウエルベック著 ★★★★★ 河出書房新社

投稿日時 2021-8-6 11:28:21 | トピック: 本棚

本書の紹介文として「2022年フランス大統領選で同時多発テロ発生。極右国民戦線のマリーヌ・ルペンと、穏健イスラーム政党党首が決戦投票に挑む。世界の激動を予言したベストセラー」というのがあるが、それほどスリリングな内容ではない。どちらかといえば文学的志向の強い、私が苦手とする、作品といえる。物語はゆっくりと進んでいく。フランス人のインテリな主人公がいかにして、イスラム政権とイスラム教に取り込まれていくかが描かれている。武力によらない穏健な政権移譲。カトリックに対するイスラム教、現代民主主義の破綻に忍び込む形で描かれるイスラム教。主人公は葛藤の中からイスラムへの帰順へと導かれていく。ある意味怖い、サスペンスともいえる。久しぶりに二度読みしてそう感じた。最後に作品中でカギとなった言葉を挙げておく。
「ポルト」 「イスラム政権」 「オイルマネー」 「ユイスマンス」 「O嬢の物語」



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