「テロリストの回廊」上・下 トム・クランシー&ピーター・テレップ 著 ★★ 新潮文庫

投稿日時 2015-4-13 18:00:48 | トピック: 本棚

メキシコの麻薬シンジケートとパキスタンのテロリストの思惑が一致し、手を結ぶ。アメリカのタスク・フォースがそれに立ち向かう。しかし、それぞれの物語を構築しながら随所で絡ませていき、一つの物語に仕上げるのに苦労している。

いずれのテーマもこれまで作者が描いてきて得意分野のはずなのだが、しっくりと来ない。まず、主役の書き込みが安易で定格的。ジャック・ライアンシリーズでおなじみのクラーク、ジョーンズィー、シャベスといった主役も張れる脇役がいない。それらしき人物は登場するのだが印象が薄い。メキシコの麻薬シンジケートの内情も描写不足。ドン・ウインズロウの「犬の力」を読んでいればその差歴然。テロリストの悪だくみも陳腐で迫力に欠ける。

作者に期待するのは、スリルと臨場感のある大活劇と感情移入できる人物描写。そのいずれもこの作品からは見えてこなかった。




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