3年も浪人して大学を目指すというのは、かなりのモラトリアムな期間だ。なんとかなるだろう、ぐらいに思っていないととても3年間の浪人生活を送れるものではない。作者の実体験がどのくらいこの作品に投影されているのかわからないが、世間でよく言われるところの、2、3年の浪人生活は長い人生においてはそんなにマイナスになるものではなく、むしろその後の人生に必ず生きてくる、そんなうらやましいモラトリアムの季節を生きてみたかったものだ。