新宿を拠点とする中国系マフィアの抗争劇を描いたハードボイルド。この作品が出されたのは1996年、今読んでみると、当時の新宿はこんなにも危険な地帯だったのかと思い知らされる。なにしろ平気でバンバンと拳銃で人が殺されていく。裏切りと裏切りの連続で誰も信じられない。そのなかで必死になって窮地を脱しようとする主人公のしたたかさが光る。作者はジェイムズ・エルロイの影響を受けたか否かは定かではないが、この作品では多分にその雰囲気が色濃く出ている。