本棚 : 「武王の門」北方謙三 著 ★★★ 新潮社
投稿者: hangontan 投稿日時: 2019-4-2 12:51:12 (324 ヒット)

九州の歴史絵巻を読んだのはこれが初めて。地名がしっくりと頭に入って来ない。
足利時代に九州を一つの国にまとめあげようとした一皇族の物語。それはまるで作者の「梁山泊」を彷彿させる。「梁山泊」にあるように小さな勢力が次第に大きくなり、時代の治世者に挑んでいく。陸地における武力衝突だけではなく、海を介した交易も重要なファクターとなっているのも「梁山泊」と同じ。物語の緩急のつけかたも「梁山泊」に似ている。平たんな部分はちょっと間延びしてしまうこともある(「岳飛伝」ではそれが著しかった)。雌雄を決する物語の山が二つあるが、そのどれも迫力があり読み応え十分。だが、すべては最後の大宰府をめぐる攻防のためにこの物語は書かれたようになもの。どう物語が収斂していくのか、終盤にきて加速度的にページをめくるスピードが速くなった。

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