本棚 : 「蜜蜂」マヤ・ルンデ 著 ★★★ NHK出版
投稿者: hangontan 投稿日時: 2019-11-16 10:47:57 (268 ヒット)

本屋大賞というのは日本の専売特許かと思っていたら、そうでもなかったようだ。作者はこの作品でノルウエーの本屋大賞を獲っている。本屋大賞は日本の本屋の店員さんの発案で、それが地道に広がり、そして幅広く支持されるようになっていったのかと思っていたら、そうではなかったらしい。どこぞの国でウケている「本屋大賞」なるものをパクっただけのことだった。巧みでしたたかなマーケティング戦略だったのだ。

ともあれ、この作品は一見の価値があるだろう。現代、過去、未来、に登場する三人の主人公の視点でミツバチをもとにした物語が語られる。冒頭から中盤まで、三者ばらばらのストーリーはいったいどこに集結するのだろうかとの疑問符だらけ。中盤になってやっとこの物語が親と子の絆の物語であることに気付かされる。感動を呼ぶ結末はないが、ミツバチを主題として親子の不偏性、特に子を想う親の気持ち、を描いた作品だとひらめいた。難を言うなら、過去、現代の挿話はうまくミツバチの生態と絡み合って興味深かったが、未来の挿話は描きたらないというか、ストーリー性が貧弱というか、ワクワク感に欠けた感がある。もっと違ったやり方があったのではないかと思うと、ちょっと残念。

印刷用ページ このニュースを友達に送る